破産管財手続き-面倒な破産
- 木村哲司
- 2020年7月31日
- 読了時間: 6分
更新日:2020年11月4日

破産にはふたつの種類の手続きがあります。破産管財人が選任される破産と、選任されない「同時廃止」という破産があります。
破産管財人が選任される破産では、最低22万円程度の実費がかかります。裁判所や破産管財人の事務所にも複数回行かなければなりません。同時廃止では、実費は2万円程度です。普通は裁判所に1回行くだけで足ります。ここでは、同時廃止にならない管財事件の説明をします。(同時廃止手続についてはこちら)
なお、以下は東京地方裁判所に破産を申し立てる場合です。多摩川をわたって、横浜地方裁判所の管轄になると、また異なる取扱いになる場合があります。
同時廃止とならない場合
このような比較的簡単な手続きで済まない場合は、たとえばこんな場合です。
借金だのクレジットの使用料だの家賃だの奨学金だの、返済しなければならない金額が500万円以上である場合
売っぱらったりして、お金にかえられる財産がある場合
浪費して多額の借金を背負った場合
ある貸主を優遇して、他の貸主に返さないで、優遇する貸主にだけ返済した場合
土地・建物とかまとまった価値のある資産を申立前に売っぱらった場合
持っている現金・預貯金などの金融資産がが20万円以上である場合
他にもありますが、これらが典型的な場合でしょう。このような場合、破産管財人を選任する破産になります。その報酬が最低20万円かかります。この金額を申立て後、破産手続開始決定、昔でいう破産宣告ですが、その決定が下される前に収めなければなりません。
破産管財人
「破産管財人」という言葉を聞いたことがありますよね。弁護士が裁判所から選任されて、破産管財人になります。
破産手続開始決定、むかしで言う破産宣告ですが、その決定が下されて、破産管財人が選任されれば、その破産管財人は売り払ってお金にできるものがあれば、売ってしまって、それを債権者に配当します。また、破産した人、破産者と言いますが、破産者に対する免責決定を下していいかどうかについての意見を裁判所に報告します。
進行
破産申立ての準備
他の項目で説明します。
破産申立て
破産を申し立てると、その日のうちに、裁判官の審尋がなされるのが通常です。申立代理人たる弁護士と裁判官とが一対一で面談し、裁判官からの様々な質問に答えます。
そこで、問題ないと判断されると、予納金の相談に入ります。予納金は最低20万円で一括払いするのが原則です。ただ、どうしても用意できない場合には、破産手続開始決定後に分割払いすることを認められる場合もあります。ただ、これは例外的な場合に限られます。本来は、申立前に貯めておいて、自分の弁護士に預けておきます。
破産管財人予定者の事務所へ
東京地裁では申立ての翌週の水曜日に破産手続開始決定が下されるのが通例です。
また、申し立てた日に破産管財人予定者が決まるのが通常です。破産管財人は弁護士の中から選任されます。東京地裁の場合、23区内に事務所を持つ弁護士から選任されます。
破産管財人予定者が決まったら、翌週の水曜日に破産手続開始決定が下されるまでに、破産管財人の事務所にあなたの代理人である私と共に行かなければなりません。破産管財人予定者、私、それにあなたの都合がよい日時にするのがベストですが、3名の予定をすり合わせようとすると、かなり窮屈になるので、管財人予定者と私とで決めることにしています。
管財人予定者からはいろいろ質問されますので答えなければなりません。ただ、私の経験上、なにか破産したことを責めるような態度をとる破産管財人予定者はあまりいませんでした。大部分の予定者は、破産するまでに追い詰められたことに同情的な方ばかりでした。
破産手続開始決定後の不自由
破産すると、少し不自由になります。
破産者は破産管財人に、破産に関して必要な説明をしなければなりません。
破産者は重要な財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければなりません。ただ、この書面は資産一覧表という形で、破産申立ての際に提出するのが通常です。この場合、改めて提出する必要はありません。なお、上記①、②に違反すると免責決定が下されないなんてことになる可能性が出てきます。免責決定とは借金をチャラにする決定です。免責決定については、別のページに詳しく書いてますので、そっちをを見てください。免責決定が下りないと、なんのために破産したのかわかりません。また、①、②に違反すると、処罰の対象にもなります。
一泊以上の旅行をするときには、事前に破産管財人に報告しなければなりません。また、裁判所の許可をもらわないで、勝手に転居できません。このような行為をしても、免責決定が下されなくなる危険があります。
破産者に送られる郵便物は破産管財人に転送されます。破産管財人はその封を開けて中身を確認する権限があります。
倒産した会社の破産管財人をしたことがありますが、銀座のお姉さんからの挨拶状がずっと転送されてきました。倒産の原因がわかるような気がしました。
破産手続開始決定後
おおむね2ヶ月か3ヶ月後に財産状況報告集会と呼ばれる集会が裁判所で開かれることになります。破産者、申立代理人、破産管財人と裁判官とが出頭します。
迅速に進行する場合、この1回目の集会で破産管財人の任務が終了することもあります。そのためには、あなたが破産管財人に極力、協力しなければなりません。破産管財人は通常、申立代理人を通じてですが、いろいろな書類を入手して提出せよとか、不審な点について質問してきたりします。それに迅速に応じてこそ、破産も早く終わるというものです。
財産状況報告集会
債権者、たとえば借金の貸主とかにも、その日時が通知されます。ですから、債権者が集会に来る場合もあります。
ただ、サラ金業者が集会に来たという例は私の場合、経験したことがありません。会社だとか個人事業者が破産する場合でしたら、融資元の銀行とか信金とかの担当者、クビになった元従業員の方々、取引先の担当者の方々がいらっしゃることがありますが、いわゆる消費者破産の場合、債権者が来ることは滅多にありません。
債権者がいない場合、個人の破産の場合、破産管財人が破産手続開始決定後、遂行した任務を簡単に説明し、免責に関する意見を述べて終了ということになります。破産管財人の任務が終了すれば、ここで管財業務が終了するということになります。要するに破産管財人はすべきことがなくなったのでお役御免ということになり、破産手続きは終了します。
債権者がいらっしゃった場合、いろいろ質問される場合があります。ありのままを答えておけば結構です。つまったりしたら、私が助け船を出します。
免責決定
ただ、これですべて終わりだということにはなりません。この後に免責手続きが進行します。破産手続が終了してから1週間後ぐらいに結論が出されます。
破産管財人が「免責不許可事由なし」という意見を提出してくれれば、免責決定が下されます。免責不許可事由とは、たとえば浪費して借金作ったり、破産管財人に財産を隠したりといったことです。破産法にいろいろ定めてあります。



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